現在の総合格闘技(MMA)のルールや競技体系が確立されるはるか以前、1980年代の日本に、驚くべき先見性を持って「打投極(だ・とう・きょく)」を融合させた新しい格闘競技を創設した人物がいました。初代タイガーマスクとして一世を風靡した佐山聡です。
「修斗」の創設と理念
佐山聡はプロレス界を引退後、1984年に「スーパータイガージム」を設立し、新しい格闘技「シューティング(後の修斗)」の構想を発表しました。彼の目標は、プロレスのエンターテインメント性を排除し、純粋な競技としての総合格闘技を確立することでした。
打撃(パンチ・キック)、投げ技、そして関節技・絞め技を一つのルールに統合し、アマチュアの競技システムからプロへの昇格制度まで、現在のMMAの基盤となるシステムをこの時代に既に構築していたのです。
オープンフィンガーグローブの発明
佐山聡の最も偉大な功績の一つが「オープンフィンガーグローブ」の発明です。素手での顔面パンチは拳の骨折や顔面のカット(流血)のリスクが高く、かといってボクシンググローブでは掴み技や関節技が使えません。
そこで佐山は、指先が露出した専用のグローブを考案しました。これにより、安全に顔面を殴りながら、同時に複雑なグラップリング技術を展開することが可能になりました。この発明は現在、UFCをはじめとする世界中のMMAで標準装備となっています。
修斗が世界に与えた影響
修斗のリングからは、後にPRIDEやUFCで活躍する数多くの名選手が輩出されました。佐山聡が思い描いた「総合格闘技を独立したスポーツ競技にする」という夢は、現在、世界中で現実のものとなっています。日本の修斗は、間違いなく世界のMMAの源流の一つなのです。
【用語解説】
・打投極(だとうきょく):打撃、投げ技、関節技(極め技)の3つの要素のこと。修斗の基本理念。
・オープンフィンガーグローブ:指先が露出しており、打撃の保護と掴み技の両立を可能にしたMMA用のグローブ。
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